2023年5月27日土曜日

メートル棒


日露戦争当時、バルチック艦隊を迎え撃つため築かれた小島砲台と敵艦隊との距離や方位を測定するために建造された立標である。当時の日本では計量の単位に尺貫法を用いていたが、海軍は英国との関係が深かったため立標にメートル単位を刻んでいることから「メートル棒」と呼ばれた。建材は主に石灰で、先人の話では時折、小島の見張り所から探照灯で照射する姿が見えたそうだ。しかし大正5(1916)年に立標は倒壊、現存するものは復旧後のものである。その後、大正13年に小島砲台は廃止となったが、立標はそのまま残された。

愛媛県今治市波方町波方 大正時代

2023年5月20日土曜日

明星川橋


心に残る多くの作品を世に送り出した北条出身の作家・脚本家の早坂暁さん。その生家前の明星川にかかるのが明星川橋だ。生涯にわたって古里を愛した、代表作「花へんろ」もここが舞台だ。旧国道196号線のクランクになったところ、作品に登場する勧商場の屋号は今も残る。秋の北条祭りで神輿を川に豪快に投げ入れる「みこしみそぎ」が行われる場所でもある。

愛媛県松山市北条辻 昭和8(1933)年

2023年5月13日土曜日

西条武徳殿



武徳殿とは平安時代に大内裏にあった殿舎の一つで、宮中で競馬などを観覧する際に用いられた。明治28年設立の大日本武徳会の本部道場は、かつて大内裏にあった武徳殿に因んで「武徳殿」と名付けられた。その後、全国各地に武徳会の支部道場が作られ、その一つが愛媛県立西条高校の南側、現在の西条市出身の彫刻家・伊藤五百亀の顕彰施設「五百亀記念館」の駐車場になっているところにあった。2009年撤去。

愛媛県西条市明屋敷 昭和11(1936)年

2023年5月6日土曜日

旧広瀬邸





住友家の初代総理人・広瀬宰平の住宅で国の重要文化財。母屋は明治10年建築、明治20年に現在地に移築され、新座敷と庭園が明治22年に作られた。母屋は伝統的な日本建築様式の中に、西洋から輸入した板ガラス、避雷針、暖炉、洋式便器などが取り入れられ、それらが見事に調和している。二階は望煙楼と称し市内を一望するつくりとなっている。別子銅山開坑200年祭の迎賓館として建築された新座敷は、住友出入りの大工棟梁八木甚兵衛の手になり、数寄屋風の意匠を凝らした上質なつくりである。旧広瀬邸は敷地内の建物がほぼ全て残り、改造もほとんどなく、明治期の大規模和風住宅の姿を今日に伝える貴重な遺構である。なお5月5日(こどもの日)は、広瀬宰平の誕生日を記念して無料公開となっている。

愛媛県新居浜市上原 明治10(1877)年~